京都洛西・塚原で採れる筍は白子筍と呼ばれ、真っ白で柔らかく、甘みのある最高級品の筍として知られています。
良く手入れされた竹林は適度に日光が差し込み、風通しも良い状態を保っています。 白子筍が育つ竹林は手入れを欠かすことができません。
田原農園の竹林は塚原でも数少ない粘土質の土壌です。 粘土質の竹林で育った筍は、その粘り気の強い土を押し分けて成長するため、なかなか穂先を地上に出すことができません。 長く地中に留まった筍は、空気や光にも触れていないので「あく」や「えぐみ」が少なく、柔らかで真っ白な筍になります。
竹林では竹と竹とが大人が両手を広げた程の間隔で保たれています。 筍を掘りながら親竹にする竹を選んで印を付けます。 この竹は2009年に親竹として残しました。 不要な竹や古い竹は取り除かれ、竹林は適切に更新されます。
本格的な作業は夏から始まります。 夏の間に草を刈り、竹林一面に敷き詰めます。 刈り取った草(カヤ類)の束をあちこちに置いていきます。
草の束を解き、丹念に敷き詰めていきます。暑い時期に中腰でするきつい作業です。 夏のこの時期の草を使う理由は、夏の若い草は秋の草よりアクが強く、竹林の酸性になった土を中和してくれます。 それが「えぐみ」の少ない筍が育つ理由です。
草が敷き終わった竹林の様子です。 草の絨毯ができあがりました。冬までこのままの状態にしておきます。 次の作業は12月〜1月頃に始まります。
冬になると土を入れます。 敷き詰めた草の上に土を入れることで、土壌をやわらかに保ち、草と土が混ざって腐葉土になります。 このフカフカの土壌が筍の栄養になります。 大変な作業ですが、毎年続けることで竹林の厚い土壌を保つことができるのです。
地面に割れ目ができているのが分かります。 白子筍は穂先がほとんど出ていないこの状態で掘り出します。 予めに目印としてササの枝を差し込んでおきます。
専用の鍬(ホリ)で少し掘るとすぐに穂先が見えるようになります。 筍の生えている向きや大きさを確認します。
地下茎と筍の間を探りながら、慎重に鍬(ホリ)を差し込んでいきます。 あまり深くクワを差し込むと、地下茎にひっかけてしまいます。 しかし、浅く差し込むと大切な筍を傷つけてしまいます。 技術と経験が必要な作業です。
グッと差し込み、柄を手前へ引くと筍が姿を現します。 うまくいくと写真のように筍だけが飛び出します。
掘り上げた筍です。 穂先まで土がついています。これが地中にあるうちに掘り出された証拠です。 ほとんど日光を浴びていないので全体が白く、この状態の筍が「白子筍」なのです。